矢 島美容室 THE MOVIE〜夢をつかまネバダ〜」 全国公開中 (2010年 ゴールデンウィーク)

矢島美容室 THE MOVIE 夢をつかまネバダ

まさに80年代ルネッサンスの権化とも言うべき「氣志團」の綾小路a.k.a. DJ OZMAが、
80年代を席捲した兄貴格のとんねるずと タッグを組んだ「矢島美容室」 を、2010年に
商業映画製作公開という暴挙に出たが、またしてもとんねるちゃんの楽屋オチ的な
伊藤“チビノリダー”淳史の起用や、貴明の個人的リクエストとしか思えない、80年代
アイドルのプリンセス・松田聖子へ の出演&テーマ曲参加オファー。

そして、それを引き受けたとんねるず同世代の聖子(48)による、アラゴー(アラウンド・
50歳)をものともしない80年代アイドル・ブリッコステージの再現ぶりは、曲タイトル
アイドルみたいに歌わせて」(苦 笑)を裏切らない「聖子ちゃん」降臨。

おまけにアメリカのテレビ局スタジオを模したステージで動き回るテレビカメラは、
貴明因縁の新宿・河田町時代のCX(フジテレビ)「8」ロゴが。

さらに80年代アイドル・クィーン=中森明菜(45)に対比して、年上ながらも永遠のブリッコを
演じてやまない聖子には、少女プリンセスの称号と共に、観る者をしてあくまでも「動」の聖子と
「静」の明菜を感じさせずにはおかない、30年間の想いを去来させる。

不屈の高卒パワーで80年代の芸能界を牽引したとんねるちゃんと聖子、そして幼児期から
小学生時代に、その彼らが発する80年代テレビ芸能文化の空気を吸って育った東京近郊の
チバラギ出身DJ OZMA(33)とのコラボレーションが、こうした形で結実してしまえるのも、
彼らが皆、今や押しも押されもしない大御所クラスであればこその道楽とも言えるが、
テレビ番組のスピンオフ作品ばかりがそれなりの興行収入を上げる昨今の日本映画界を
象徴する現象とも言えよう。

ちなみに、不倫略奪できちゃった婚とも言われた鈴木保奈美との再婚をはじめ、人気アイドルへの
「口先よりも手が出る」下ネタ攻撃やセクハラ行為の暴れん坊将軍ぶりでは定評のある貴明(48)が、
前妻との娘である「穂のか」(20)と同世代の共演者、黒木メイサ(21)へもちょっかいを出すあたり、
その荒ぶる下半身はまだまだ高校球児並みにエキサイティングである。

過去20年近くにわたって今も続く日本の経済不況に、バブルに弾けまくったとんねるちゃんの
高額所得者ならではの行き場の無いエネルギーは、その軽薄さとあいまって、世間の窮乏も
なんのその、バブル気分を引きずる業界内輪ウケ的な空虚なエンターテイメントをこれからも
余裕で発散させ続けてゆくに違いない。

私も含め、「80年代」という宿痾を背負った者たちの、それが宿命(さだめ)というべきものである。


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